上関原発関連トピックス  


祝島のビワ畑から原発建設予定地周辺を望む。
このすばらしい自然をいつまでも大切にしたい。


◎上関原発計画の環境アセスメント確定(2001/7/13)

 経済産業省は13日、上関原発計画の環境影響評価書について「環境保全に適正な配慮がされている」と判断し、中国電力に評価書の確定を通知した。
 中電は16日に山口県と上関町に評価書を送付し、17日から1カ月間、上関町役場、平生町役場、柳井市役所、山口県内の中電営業所などで住民に縦覧し、形式的にはこれで環境アセスメントの手続きを終えることになる。


◎経済産業省、中電の環境評価書を了承(2001/7/6)

 経済産業省の環境顧問審査会は6日開いた原子力部会で、中国電力の上関原子力発電所建設計画の環境影響評価書について、顧問会の意見が反映され通産大臣(当時)勧告や知事要望などに沿っているとして了承した。
 しかし、この環境審査顧問審査会では、実質的な審議がないまま了承したとのことで、「手続きさえしてしまえば、内容はさほど重要ではない」という、国と行政の姿勢がここにも現れている。今後、何らかの問題が出てきた場合に、この審査会の出席者の責任は強く問われるべきだろう。


◎環境影響評価書、調査やり直し申し入れ(2001/7/3)

 上関町の原子力発電所計画に反対する日本生態学会や長島の自然を守る会のメンバーと、社民、共産の国会議員らが経済産業省など3つの省庁を訪れ、環境影響評価のやり直しや原発計画の中止を求めた。
 中国電力は先月15日に、最終的な環境影響評価書を国に提出したが、申し入れでは、「中電の評価には、生物の種のリストや生態系への予測が欠落している」などと指摘し、調査のやり直しを指導するよう国に求めた。さらに、予定地の貴重な生態系などを考慮して原発計画を中止するよう求めた。


◎中電が環境影響評価書を提出(2001/6/15)

 中国電力は15日、上関町の原発予定地周辺の環境への予測などをまとめた最終的な環境影響評価書を国に提出した。
評価書では、「原発建設が希少な生物に与える影響は少ない」としている。


◎上関原発計画が電源開発分科会で了承された(2001/5/16)

 中国電力の上関原発建設計画の事業着手が16日に、総合資源エネルギー調査会電源開発分科会で了承された。
 電源開発基本計画への組み入れは、通常は、地元合意や用地取得、漁業補償などの見通しが立ったうえで知事同意を得るのが基本だが、上関原発では、地元合意もなされておらず(むしろ反対意見の方が多い)、用地取得も炉心部付近の神社地の取得も見通しが立っていない。また漁業補償についても、祝島漁協の反対を押し切っての合意で、裁判で係争中である。さらには、建設予定地周辺の自然環境が瀬戸内海でもっとも豊かな自然を残しているにもかかわらず、中電の環境調査書では「環境への影響は少ない」とされ、地元住民や自然保護団体をはじめ、各方面からから、批判が相次いでいる。
 このような状況下で、政治的圧力によって突然の知事意見照会がなされた。これに対してニ井県知事は未解決の問題があるとして、厳しい条件をつけた意見書を提出した。が、結果的には、国に対して誠意ある対応の約束を取り付けたとして、口頭で「同意」した。
 16日に東京で開かれた総合資源エネルギー調査会の電源開発分科会では、委員の一人が「上関原発は見切り発車の印象もある。国は責任を持って、しっかり説明すべきだ」とただす一面もあったようだ。「見切り発車の印象」ではなく、はっきり言って「見切り発車」だ。


◎原発予定地で、また新種とみられる巻貝発見(2001/5/7)

 5月5日〜6日にかけて、日本生態学会中国四国地区会や長島の自然を守る会などによって上関原発建設予定地での生態調査が行われ、新種の可能性が高い巻き貝が発見されたことが分かった。


◎二井県知事が意見書提出、「厳しい条件付で同意」(2001/4/23)

 中国電力が計画する上関原発について、国から意見を求められていた二井山口県知事は23日午後、資源エネルギー庁に意見書を提出した。国からの突然の意見照会で「悩みに悩みぬいた」末の意見書の中には、「同意」の文字は無く、上関原子力発電所計画を電源開発基本計画に組み入れることについて「理解できる」とだけ書かれている。用地取得交渉など未解決の問題が残っているなど、地元住民の合意はできていないことを示し、多くの厳しい条件を付けたうえで、国に対して責任と誠意ある対応を求め、資源エネルギー庁長官に意見書を手渡した綿屋副知事が、約束を取り付けたとして、口頭で「同意」を伝えた。
 しかし、国や中国電力の対応しだいでは、「計画の推進等について、県が有する権限、事務、協力等を留保することもあり得る」としている。

 
→知事意見全文はこちら


◎突然の知事意見照会は政治的圧力(2001/4/21)

 経済産業省が上関原発計画を電源開発基本計画に組み込む方針を打ち出し、山口県知事に対して突然意見照会を求めてきた背景には、やはり政治的圧力があったようだ。4月21日付の朝日新聞によると、上関原発を推進する山口県議2人が、3月中旬に平沼経済産業省相および自民党の亀井静香政調会長に陳情し、亀井氏がその場で資源エネルギー庁長官に電話で「国が知事の背中を押してやるように。」との政治的圧力をかけた模様である。
(作者コメント)  亀井氏は、中国電力のある広島県選出の議員であり、今回の突然の知事意見照会は、まさに相も変わらぬ政・官・財の癒着の構造そのものである。ニ井知事は、この突然の意見照会に戸惑い、悩んでいる。上関町の周辺自治体の住民アンケートやマスコミが実施した県内世論調査では、いずれも「反対」が「賛成」を上回っており、また未解決の問題も多く残っている。片山上関町長や国は「住民合意は形成されている」としているが、実態はまったく異なっている。それは誰の目にも明らかであり、知事の認識としてもそうであろう。素直に回答するなら、上関原発計画に対しては「ノー!」あるいは、少なくとも「時期尚早である」という回答になるはずである。しかし、ニ井知事は、原発を推進する自民党を支持基盤としているため、「ノー!」という回答をすれば、その基盤を一気に失うことになりかねない。だが、今、明らかに時代は変わりつつある。各地で無党派候補が自民党候補を倒して当選している。もう国民は今までの自民党政治に対しては「ノー」という答えを出している。二井知事は勇気を持って、県民の声を代表する回答を出して欲しい。そうすれば、自民党が支持しなくても過半数の県民は二井知事を山口県知事として引き続き支持するだろう。県知事は国から任命されるのではなく、県民から選ばれるのである。そして、県知事のもっとも重要な使命は県民の生活を守ることではないだろうか。
 原発問題による無駄なエネルギーの浪費はもうたくさんである。上関原発は白紙撤回して、21世紀の山口県は、二井知事が推進する「きらら博」のコンセプトである県民参加によるイベント作りと同様に、原発立地の補助金などに頼るのではなく、県民参加による県作りで明るく楽しく進んで行きたいものである。


◎上関原発拒否を求め、祝島島民150人が座り込み(2001/4/16)

 中国電力が建設を計画する上関原発に反対して、祝島の島民約150人が16日午前、県庁前で座り込みを始めた。

「座り込み行動」で知事に「原発白紙撤回」を求める。


◎経済産業省が上関原発を電源開発基本計画に組み込む方針(2001/4/6)

 経済産業省は、中国電力の上関原発建設計画を2001年度の電源開発基本計画に組み込む方針を決め、6日に関係九府省連絡会議を開き計画案を提示した。山口県の二井関成県知事には、25日までに意見を提出するよう求めた。5月中旬にも、諮問機関の総合資源エネルギー調査会電源開発分科会に上程される。
 担当の資源エネルギー庁は上程方針について「未取得の土地が解決の方向に前進していると地元町などから聞いており、機が熟したと判断した」と説明している。
(作者コメント)
 実際には土地問題は解決の兆しはたっておらず、地元および周辺市町の住民アンケートでもいずれも反対意見が賛成を上回っている。要するに、自分達の計画に都合のいい意見しか聞いていないということだ。国策の名のもとに、またしても住民無視の政策が進められようとしている。今まで、国内で何度となく同様のごり押しが行われ、地元住民は虐げられてきた。成田空港しかり、諫早湾の干拓事業しかり、そして将来に大きな禍根を残している。
 かつて、「腐りきった徳川幕府には、もはや日本の国を任せることができない」という民衆の力が結集され、明治維新が成し遂げられた。国民の意思を反映しない、自己改革もできない、そんな今の日本政府や中央官庁は、あの腐りきった徳川幕府に近いのではないだろうか。



◎グリーンピースが神社用地売却拒否を神社本庁に要請(2001/4/6)

 国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは6日、上関原発建設計画での神社地問題で、神社本庁に用地を売却しないよう申し入れた。山口市の同庁に志田早苗事務局長ら2人が訪れ、要請書を提出した。



◎中電が9月までに上程の方針を示す(2001/3/30)

 中国電力は上関原発建設計画について、今年9月までに国の総合資源エネルギー調査会の資源開発分科会に上程する方針を2001年度供給計画で明らかにした。計画によると上関原発1号機と2号機を今年9月までに国の資源開発分科会に上程。営業運転開始は1号機が12(平成24)年、2号機が15(同27)年とした。



◎柳井市長が意見書提出。原発の是非には触れず(2001/3/28)

 上関原発建設計画について、柳井市の河内山市長が県知事に意見書を提出した。意見書は、「地方自治の原則から上関町の政策選択が尊重されるべきだ」と、原発立地の是非には触れない内容。最終判断は結局は県に委ねられた形。



◎上関町の片山町長が中国電力に財政支援要請へ(2001/3/9)

 上関町の片山町長が中国電力に財政支援を要請する方針を明らかにした。建設が決定していないのもかかわらず、このような支援要請することは非常にまれであり、またひとつ既成事実を作ろうとする町長のやり方に原発反対派から非難の声が出るのは必至であろう。



◎被爆二世の会などが知事に上関原発不同意を求める(2001/2/15)

 県内の原爆被爆者の子供で作っている「被爆二世の会」と「憲法を活かす市民の会・やまぐち」の代表が知事に上関原発計画上程に同意しないように求める申入書を提出した。この申入書には、賛同団体として「臨界事故被害者の会」、「全国被爆二世教職員の会」、「長崎県広島県被爆二世教職員の会」などが名を連ねている。
 申入書では、「原発事故が起きれば現場作業員はもちろん、周辺住民が被爆し、事故でなくても定期検査などの作業では下請け、孫請け労働者が被爆する。知事はこの声を真摯に受け止め、上関原発計画上程に同意しないよう」強く要望している。



◎県民アンケートを求める署名活動開始(2001/2/10)

 上関原発建設に反対している4団体は、山口市民館ホールで「上関に原発はいらない総決起集会」を開き、県に対して原発建設の賛否を問う県民アンケートの実施を求める署名活動を開始した。
 集会には約350人が参加し、各団体のリーダーらがそれぞれの活動状況を説明した。そして、「知事は、一般論としながらも原発の安全性や経済波及効果など、推進派と同じような答弁をした。知事に県民アンケートの実施を求めるため署名活動を展開し県民の意見を尊重するよう求める」との宣言を採択した。
 署名活動は4団体が中心となって、4月24日まで県内の各種団体などに呼びかける。



◎中間報告承認に抗議(2001/2/5)

 二井知事が中国電力の環境影響調査中間報告について了承する見解を国に提出したことに対し、「長島の自然を守る会」は、調査報告には根本的な欠陥があることを指摘していたのに了承したのはアセスメント法の精神を逸脱したものだという抗議文を、知事宛てに提出した。



◎上関原発計画で、県が中電の中間報告を了承(2001/1/29)

 中国電力が国に提出した環境影響評価準備書の追加調査中間報告について、山口県は29日、「知事意見が基本的に尊重されている」として、報告内容を了承する見解を経済産業省に提出した。一方で希少動物に影響を与えないよう、環境への保全措置を講じる−など9項目の配慮を求めた。



◎中間報告書で庁内検討会「知事意見は尊重」(2001/1/22)

 中国電力が国へ提出した上関原発建設計画に伴う環境影響評価中間報告書を検討していた県の庁内検討会は、22日に最終検討会を開き、「中間報告は基本的に知事意見が尊重されている」との意思を取りまとめた。



◎綿屋副知事、個人的意見で「原発は危険」(2000/12/27)

 上関原発建設計画に反対するニ市六町議会議員連盟は27日、県庁で二井知事宛ての計画反対申入書を綿屋副知事に手渡した。この際、綿屋副知事は「個人的意見」と断りながら「原発は危険極まりないもので、なまじっかな安全対策では駄目」と述べた。また、商工労働部の資料で県内発電量の約6割が県外に移出されていることも明らかになり、原発の県内立地のあり方を問うものとして注目された。
 反対議連の申入書では、「知事は国策の名の下に県民の生命や財産、祝島の生活圏まで犠牲にして中電や一部の政治家、利害のからむ企業の営利追及に加担するのか」と責任を問い、中電の最大株主である県知事として、建設計画の即時中止を明確にするように求めている。綿屋副知事は、「反対意見も知事の意見形成の重要な判断材料になる」と述べた。



◎中電、神社用地について「解決の道筋はできている」(2000/12/12)

 中国電力の大束立地環境部長は、県議会商工労働委員会に参考人として出席し、「原発立地に最低限必要な土地はおおむね取得できている」との見解を示した。予定地の8割強が取得見通しであると説明。宮司が売却を拒否している神社用地については、神社の責任役員4人のうち宮司を除く3名の同意を得ていることなどを理由に、「契約には至っていないが、解決の道筋はついていると考える」と述べた。



◎予定地の神社宮司が神社地売却を拒否(2000/12/10)

 上関原発予定地にある神社の宮司が県神社庁と話し合いを行い、初めて正式に神社地売却を拒否する意向を伝えた。宮司は、「神社は人間と自然を守らなければならない。また、神社本庁の憲章にも、『神社地をみだりに売却すべきでない』とある」と説明した。
 県神社庁では、「原発の賛否の意見を言う立場にない」としており、二井知事は神社地問題について「見通しが立たないと上関原発に対する意見を言うのは難しい」と話している。



◎二井県知事が県議会で上関原発建設の容認を表明した(2000/12/4)

 二井県知事は、4日の県議会代表質問で自民党の松永議員の質問に対し、上関原発について「国および電力会社の安全性確保を前提に認めうるもの」と述べ、原発建設容認の姿勢を示した。知事は「1999年9月の茨城県東海村での臨界事故を機に国は原子炉等規制法を改正するなど、安全対策は今後大幅に充実される」とし、「電力会社も安全規定の順守や従業員教育の徹底など厳しい緊張感の下、安全運転に努めることになっている」と述べた。さらに、「発電所建設工事や維持管理による雇用や物品販売などの機会拡大、地元自治体には電源三法に基づく交付金や税収増で財源確保につながる」と説明した。
 本会議終了後、記者団の質問に対して、二井知事は「上関原発が必要という意味ではなく、一般論として答えた」とも説明。


◎中間報告の評価、専門家の意見を聴く方向へ(2000/11/30)

 中電が国に提出した上関原発環境影響評価中間報告書を審議している県庁の庁内検討会は、30日の会合で、「県の見解をまとめる際に専門家の意見を聴くべき」とする方針を示した。これまで検討会では「環境影響評価法の範囲内での検討は組織内で可能」との立場をとっていたが、環境保護団体などからの再三の申し入れをようやく受け入れることになった。


◎電調審への年内上程は困難(2000/11/17)

 17日、通産省など関係省庁による連絡会が開催された際、上関原発計画については議題にのぼらず、電調審への年内上程は困難な見通しとなった。資源エネルギー庁では、「上関原発は、総合的に考えて、今のところ上程できる状態にない」としている。
(作者コメント)
 炉心部分の用地買収が進んでいない、漁業補償問題も解決していない、地元住民の合意もなされていない、周辺市町の住民調査ではすべての市町で反対が賛成を上回っている、ということで、今回上程されない見通しとなったことは当然であろう。


◎二井知事、周辺市町に原発建設の是非求めず(2000/11/13)

 二井知事は上関原発について、周辺二市五町の市町長と県庁で意見交換し、知事が周辺市町に求める意見は文書で回答することを決めた。また、回答する意見に原発建設の是非を盛り込むことは強制せず、記載内容は各自治体の判断にまかせることを了承した。さらに、上関町の合意を最大限尊重することと、国のエネルギー政策を支援するという県の基本方針を再確認した。


◎米エンロンが宇部市に大型火力発電所建設を計画(2000/11/10)

 米エネルギー大手のエンロンがオリックスなどと設立した電力小売事業会社イーパワーが、宇部興産が所有する遊休地に50万〜100万キロワット級の低コスト火力発電所を建設する計画があきらかになった。同社では2007年の稼動を目指している。
(作者コメント)
 日本でも電力会社と新規参入企業との競争が本格的に始まった。中国地方では、もともと電力が余っていて、中電は余剰電力を関西電力などに売っていたが、これで中国地方の電力はさらに余ることになり、原発の新規建設の必要性はますます薄れてきた。また、企業間競争により電力の価格低下は必至であり、膨大なコストが必要な原発建設は中電にとっても大きな負担になると思うのだが...。


◎四代地区の氏子や室津漁協が県神社庁に要望書提出(2000/11/10)

 上関原発計画で、宮司が予定地内の神社地売却に反対していることに対し、計画推進派の四代地区の氏子ら、および室津漁協が県神社庁に、宮司の解任や指導を求める文書をそれぞれ郵送していたことが明らかになった。


◎通産省が中電環境報告を「おおむね妥当」と判断(2000/11/9)

 中電が提出した環境影響調査の中間報告について、通産省の環境審査顧問会は、原子力部会で審査し、調査結果や方向性が「おおむね妥当」と判断し、内容を了承した。


◎日本生態学会が環境影響評価のやり直しを要求(2000/11/7)

 中国電力が提出した環境影響評価中間報告について、日本生態学会中国四国地区会は、「生態系への配慮が足りない」として、アセスのやり直しを通産省と環境庁に申し入れた。生態学会は、「予定地は瀬戸内海の重要な海域で、このアセスに基づいて開発されれば取り返しがつかない」と指摘している。
 →日本生態学会の見解については、こちらで全文がご覧いただけます。


◎大島町の住民調査で上関原発反対意見が圧倒的多数(2000/11/2)

 上関原発計画について大島町議会が実施した住民意識調査の結果が発表され、回答者の約7割が反対意見であることがわかった。大島町の調査結果では、上関原発に「賛成」はわずか3.9%。「やむを得ない」という意見を含めても20.7%であった。一方、計画に「反対」と「計画を延期すべき」をあわせると68.7%にのぼり、上関原発計画に反対の意見が圧倒的多数を占めた。
 これで、周辺2市5町の住民アンケートでは、すべて原発反対意見が多数を占める結果となった。一方、地元上関町では住民アンケートは実施されていない。


◎第1次公開ヒアリング、混乱の中で開催(2000/10/31)

 中電の上関原発計画で、通産省が31日に予定していた第1次公開ヒアリングは、反対派の激しい抗議行動により予定より大幅に遅れて正午前から始まり、午後6時に終わった。
 反対派は地元住民や反原発グループメンバー、県内外の労組員など700人以上が早朝から集結し、体育館に向かう町道や近くの空き地を埋め尽くして、「地元無視の公開ヒア反対」などと抗議行動を行った。11時過ぎに、反対派グループリーダーたちが「独自のシンポを開いて、推進派だけのヒアリングの不当性を訴えよう」と呼びかけ、道路の封鎖を解いたため、三時間近く車に缶詰めだった中電関係者や傍聴人が複雑な表情で続々と会場に入った。公開ヒアリングは反対派がボイコットしたため、推進意見が大半を占めた。

 (作者コメント)
 地元住民の合意が得られない中での、国や中電による強引な公開ヒアリング開催で、形の上では電調審上程の条件が1つクリアされたことになるが、上関原発計画ではこのような強引なやり方が今まで繰り返し行われてきており、その度に中電や国への不信感は高まり、地域社会の意見対立の溝は深まってきた。今日のインタビューで片山町長は、「ヒアリングの結果を重視して欲しい」と言っていた。これは、反対派の抗議行動は見なかったことにして、ほとんど推進派だけで行った無意味な公開ヒアリングで出てきた声だけを住民意見として欲しいということであろう。このような発言は町民全体の声を尊重すべき立場の町長にはあるまじき発言であり、激しい憤りを感じざるを得ない。今日の混乱はマスコミ報道によって多くの県民や国民が見ており、決して地元合意は得られていないということは明白である。
 地元合意もなく原発計画を強引に進めようとする国、中電そして町長による原発推進により、上関町の住民はすでに多大な被害を被っており、これは原発立地によって得られる財政的価値を遙かに上回るものであると考える。そして、原発が出来てしまえば、上関町が日本に誇れる自然環境も壊滅的なダメージを受ける。また、原発問題に振り回されて、本来の町づくりはこの18年の間、置き去りにされてきた。
 このような混迷状態を早く抜け出し、上関町の豊かな自然環境を生かした、全町民が力を合わせて活き活きとした町づくりを進められる状況を作り出すために、二井県知事の「原発計画の白紙撤回」の英断を期待したい。

◎柳井で「県民の意見を聴く会」を開催(2000/10/24)

 前日の小郡町に続いて、柳井市で「県民の意見を聴く会」が開催された。地元上関に隣接する柳井市での開催で、上関町をはじめ約1000人が傍聴に詰めかけた。原発推進、反対の立場からそれぞれ15人が意見を発表。うち9人が上関町民であった。
 推進の立場では、商工団体、企業の役員らが「建設に伴う経済波及効果」「電力の安定確保」を理由に、立地の必要性を強調。地元推進派は「過疎、高齢化に歯止めをかけるには、原子力発電所しかない」と訴えた。一方、反対の立場からは、反原発団体、労組の役員らが「脱原発は世界の流れ」「放射性廃棄物など負の遺産をつくるな」とアピール。祝島の住民は「これ以上、住民対立を続けさせないで」と思いを伝えた。
 会を終えた二井知事は「県民の生の声に直接触れたのは有意義だった」と述べた。また、今回の会であらためて浮き彫りになった住民対立について知事は「具体的なコメントは避けたい」としながら、「私なりに実情は理解できた」とも言った。 さらに、二井知事は、来月にも柳井市など周辺2市5町の首長と意見交換する方針を示した。

◎小郡で「県民の意見を聴く会」を開催(2000/10/23)

 山口県は23日、公募で選んだ県民に意見を発表してもらう「県民の意見を聴く会」を、小郡町の町ふれあいセンターで開催した。二井知事をはじめ関係部局の部長ら担当者が出席し、原発立地に「推進」「反対」と、対立する双方の住民意見に耳を傾けた。会場では、公募で選ばれた推進の立場の14人と反対の15人が意見を述べ、県の中西部を中心に約580人が傍聴した。

◎「電調審上程不同意」を求める12万人の署名を県に提出(2000/10/19)

 祝島自治会をはじめ、上関原発に反対する各種団体の代表が山口県庁を訪れ、12万人余りの「電調審上程に同意しないように求める署名」を県に提出した。同名は祝島住民が全国に呼びかけて集めたものである。県庁を訪れた祝島自治会などの代表者らは、「知事自ら祝島を訪れ、島民の声を直接聞く」、「自然と漁場を壊す行為に手を貸さない」、「電調審上程には同意しないこと」などを申し入れた。

◎中間報告で県庁内に検討会設置(2000/10/19)

 18日に中国電力が国に提出した中間報告について、追加調査を求めた知事意見が十分尊重されているかどうかを確認するため、県庁内に横断的な検討会を設置することを発表した。

◎中電が追加調査の中間報告を提出(2000/10/18)

 中国電力が予定地周辺で実施している環境影響評価の追加調査について中間報告を国に提出した。報告では、スナメリやハヤブサ、希少貝類など環境への影響は少ないと結論づけている。
 →詳細はこちら

◎大畠町の住民調査でも上関原発反対意見が圧倒的多数(2000/10/17)

 大畠町の住民調査でも上関原発に反対の意見が圧倒的多数を占めた。大畠町職員労組が実施したアンケート調査結果が明らかになった。その結果、賛否を聞いた項目では反対が「どちらかといえば」を含めて約3分の2の65%に達し、賛成はわずか23%に留まった。大畠町は電調審上程の際、二井関成県知事が意見を聞く上関町周辺2市5町の一つ。 これまで住民調査を実施したすべての周辺自治体で、上関原発計画について反対が賛成を上回っていることになる。

◎原発推進派が柳井で総決起大会開催(2000/10/14)

 上関町の推進派組織「上関町まちづくり連絡協議会」と周辺二市五町を加えた商工団体でつくる「上関原電立地促進協議会」の主催する原子力発電所の早期立地を求める総決起大会が、14日に柳井市のサンビームやないで行われ、上関町や周辺市町の住民約2200人が参加した。
 (作者コメント)
 この決起大会のために、中電は上関から会場までの往復の大型バスを何台もチャーターし、参加者には日当も出したという噂だ。これでは中電の社員による決起大会のようなものですね。ある人の話では、それでもバスには3分の1くらいしか乗っていなかったとのこと。上関町内に、本当に原発建設を望んでいる人は何人いるの?町長さん、ちゃんと調べる気はやっぱり無いんでしょうね。

◎1次公開ヒアリング意見陳述は推進意見が大半。反対派は参加拒否。(2000/10/13)

 10月31日開催予定の上関原発計画の1次公開ヒアリングへの意見陳述申し込みは推進派が大半を占めていることがわかった。反対派団体は「ヒアリングは原発建設が前提で、是非を話し合う場ではない。地元の状況を無視した強引なやり方。」として、参加を拒否し抗議行動を行う予定。資源エネルギー庁は「ヒアリングは予定通り開催する」としているが、地元住民の意見を聞くという目的とはほど遠いものになる。

◎社民党が上関原発計画の白紙撤回を要請(2000/10/10)

 社民党県連と県議団が、山口県と中国電力に対して上関原発計画の白紙撤回を要請した。白紙撤回要請の理由は、
(1)原子力施設が安全に運転される保証がない
(2)原子力に頼らないエネルギー活用を進めるべき
(3)環境破壊をすべきでない
(4)関係地域の地権者や漁業関係者の同意も不十分で周辺住民の反対の意思表明が強まっている
など。

◎国会議員が原発予定地視察(2000/10/8)

 今年6月の衆議院選挙で当選した山口2区の平岡代議士(民主党)をはじめとする国会議員ら5人が、原発予定地沖や海岸で日本生態学会などが実施する生物調査を視察した。

◎反原発キャラバンがスタート(2000/9/26)

 山口県内の市民団体による「反原発キャラバン」がスタートした。キャラバンは3グループに分かれて9月26日〜10月6日までの間に、県内56市町村を回って、各首長と議長に、上関原発計画に反対の決議をするように求めた申入書を提出する。

◎通産省が公開ヒアリング実施を発表(2000/9/20)

 通産省は上関原発について、住民から意見を聞く公開ヒアリングを10月31日8時半から上関町民体育館で開催することを発表した。公開ヒアリング開催は、電調審への上程に欠かせない項目となっている。
 今回の開催決定について、通産省側は「3月に環境影響調査書についての通産相勧告が出て、四月には漁業補償交渉が決着するなど、一連の地元情勢を見て開催を決めた。」と説明している。

 今回の決定は、またしても国(行政)と電力会社との、地元住民の意思を無視した強引な計画推進の1ステップといえる。まず、3月の環境影響調査書についての通産相勧告は、環境調査が不十分で、中電に対して追加調査を行うように勧告したのではなかったのか。そして、その追加調査すらまだ終わっていない。また、漁業補償交渉は今回の原発計画で最も損害を受ける祝島漁協の反対を無視したもので、その有効性がまだ裁判で争われている段階である。さらに、土地問題もまだ解決していない。なによりも、上関町内でまだ地元住民の原発の是非を調査する住民アンケートすら行われていないのである。

◎大島町で上関原発について住民アンケート実施を発表(2000/9/7)

 大島町議会は、中国電力の上関原発建設計画の賛否を問う住民アンケートを近く実施することを発表した。

◎柳井市で上関原発計画に関する「市民の意見を聴く会」が開催された(2000/9/3)

 9月3日、柳井市主催の上関原発計画に関する「市民の意見を聴く会」がアクティブ柳井で開催された。会には柳井市長も出席し、応募した柳井市民22名が意見を述べた。上関周辺の自治体では初めて、自治体主催の公聴会とあって、多くの市民やマスコミが会場に詰めかけた。

(参加レポート)
 この会を聴講しましたので、簡単にレポートします。(私の個人的意見がだいぶ入っていますが...) 
 発表者は推進・反対意見の人がほぼ交互に発表するという感じでした。発表全体の感想ですが、反対意見の発表者が、各自の意見を自分の言葉でしっかり発表し、非常にバラエティーに富んでいたのに対して、推進意見は原稿を読みながら判で押したように「地域の活性化」「地域への経済効果」「CO2の削減」の話ばかりしていた点です。
 推進意見の皆さん、「原発を作れば地域は本当に活性化されるんですか?」「原発を作ればCO2は減るんですか?」両方ともNOですね。「日本の原発立地地域で、見せかけだけでなく本当の意味でその地域が活性化されたところはありますか?」「今までこれだけ原発を作ってきて、CO2は減りましたか?」「そもそも日本のCO2発生源のほとんどは自動車などの運輸関係で、発電による発生割合は全体の1〜2割程度じゃありませんか?」
 推進意見の中には、省エネやCO2の削減を叫びながら一方では「便利で快適な生活を維持したい」という矛盾することを言われる方や、「祝島の人には申し訳ありませんが」などと妙に素直にお願いをされる方もいらっしゃいました。そんなことお願いされても困るんですけど...。(^^;
 これに対して反対意見の方は、なかなか的を得た発言が目立ちます。「原発問題の話をすると必ず感情的になってしまう」。そうですね、これがまず原発による地域に及ぼす悪影響の第一歩です。残念ながら上関町でも、そして祝島でもその通りでした。地域住民にとってはこの悪影響だけでも、原発による経済効果を遙かに上回るマイナスです。「万一事故が起こったら、誰が責任を取るんですか?上関町ですか?柳井市ですか?県ですか?国ですか?まったく明確になっていませんね。」「1万年先までの、放射性廃棄物の管理など誰が責任とれるんですか?」
 まだまだ書き足りないですが、このくらいにして、最後に柳井市の女性議員の方の発表の一部を紹介します。北海道の泊原発の近くで住民に安全説明会(?)が開催されたときのエピソードだそうです。説明会の最後の質疑応答の時間に女子中学生が涙を流しながらこう訴えたそうです。「私たちはどうして毎日危険に怯えながら生活しなくてはいけないんですか?どうして計画の時点で大人たちはもっと原発に反対してくれなかったのですか?」
 もしも、20年後に同じことを未来の子供たちから問いかけられたとしたら、あなたはどう答えますか?

◎スナメリなど海の希少生物が山口県版RDBに記載されることに決定(2000/8/28)

 山口県野生生物保全対策検討委員会は、上関町長島周辺で発見されたスナメリやナメクジウオなどの希少生物を、現在作成中の県版レッドデータブックに追記することを決定した。県版RDBは97年から作成作業を進めており、本年度末完成の予定。

◎山口県が「県民の意見を聴く会」開催を発表(2000/8/17)

 山口県は、上関原発について「県民の意見を聴く会」を10月23、24日に開催することを発表した。23日は小郡、24日は柳井で開催される。県はこの会で事前に県民の意見を聴き、電調審で知事が意見を述べる際の材料にする。会には知事も出席する予定である。
 会で意見を発表できるのは県内に住所がある人のみ。発表希望者は、当日述べる意見の要旨を千字程度にまとめ、名前、住所、連絡先、希望会場を書き添えて、県商政課(〒753-8501 山口市滝町1-1 電話083-933-3125)へ郵送または持参する。10月4日必着。
 発表者は両会場共30人程度で、発表は7分以内。傍聴は可能だが、傍聴者が意見や質疑を述べることはできない。

◎祝島島民の会、7万5千人分の原発反対署名を二井県知事に提出(2000/8/8)

 祝島島民の会は8日、上関原発に反対する7万5千人分の署名を二井県知事に提出し、原発建設に同意しないように求めました。
これに対し、県側は周辺市町の住民の意向を充分調査する意向を示しました。

◎衆院選で原発慎重派の平岡氏が推進派佐藤氏を破る(2000/6/26)

 衆議院選挙山口2区(岩国〜下松エリア)で、民主党の新人・平岡氏が自民党の佐藤氏を破って当選した。原発推進派の佐藤氏が落選したことで、上関原発計画にも微妙な影響が出てくる可能性がある。
 当選した平岡氏は上関原発計画について、「安全性の確保が最優先。上関町では原発推進の前職への票が多かったが、地域の振興のため、初めに原発ありきになっていないか。別の形での振興策があればそれはそれでいい。」と述べている。


◎祝島漁協が漁業補償契約をめぐって提訴(2000/6/13)

 祝島漁協は13日、中国電力の上関原発計画に伴う漁業補償契約をめぐって、補償契約を結んだ中国電力と第107号共同漁業権管理委員会、四代漁協、上関漁協を相手取って、契約の無効の確認を求める訴訟を地裁岩国支部に起こした。


◎「原発に反対し上関町の安全と発展を考える会」総会で計画白紙撤回を決議(2000/5/28)

 「原発に反対し上関町の安全と発展を考える会」は28日に上関町中央公民館で総会を開催し、上関原発計画の電調審11月上程阻止と白紙撤回をあらためて決議した。
 また、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の山戸代表は「二井県知事に上関原発の同意をしないよう求める署名を提出したいので協力を」と呼びかけた。
 署名用紙は祝島漁協で配布している他、インターネットからも入手することができる。
 署名用紙


◎自民党調査会が中間報告で原発立地推進を提唱(2000/5/23)

 自民党石油等資源・エネルギー対策調査会(会長・佐藤信二元通産相)のエネルギー総合政策小委員会が近く公表する中間報告で、原発について「安定的な電力供給源である」などと評価し、新規立地を推進するよう提言していることが明らかになった。
 一方で、超党派の「自然エネルギー促進議員連盟」が発足するなどして、ようやく普及をめざす動きが政界にも出てきた風力などの新エネルギーに関して自民党調査会は、「普及に向けた事業者への資金支援の充実」を訴えながらも、「石油などを補完する役割にとどまる」と位置付けている。
 このような考えをすること自体が、日本での自然エネルギーの普及にブレーキをかけているのではないだろうか。現に、欧州は原子力に見切りをつけ、自然エネルギーの利用促進のための政策をどんどん進めている。現在、日本で電気料金から徴収される電源開発促進税は年間5千億円近くになり、このうち約8割が原子力発電の立地や研究に充てられているという。国が古いエネルギー政策を転換し、現在、原子力発電に充てられている(しかもテレビコマーシャルや立地候補地への金のばらまきなどに無駄に使われている)税金を自然エネルギーの普及や省エネルギーの研究に回さない限り、自民党調査会の言うように、自然エネルギーは「石油などを補完する役割にとどまる」ことになるだろう。意地悪い考え方をすれば、自民党調査会としては、「石油などを補完する役割にとどめたい」のではないか・・・というのは考えすぎか?
 ちなみに、自民党調査会の会長である佐藤信二議員は、上関原発計画のある山口2区選出の議員である。


◎中電またしても既成事実作り。漁業補償金の半額支払い(2000/5/15)

 中国電力は15日に関係8漁協の共同漁業権管理委員会と、四代、上関漁協に対し、漁業補償金総額約125億円のうちの半額を支払った。祝島漁協は補償金の受け取りを拒否し、近く提訴する構え。
 原発に対する国内情勢の変化、建設計画に対する内外の環境保護団体からの強い反発、そしてなにより地元住民の合意が得られていない中で、またしても中電の強引な既成事実作りである。このようなやり方をしていては、ますます地元住民の反感を買うことになろう。
 ところで、今回支払われた補償金は、原発計画が白紙撤回となった場合どうなるのだろうか?「白紙撤回の場合は、返還しろ」というのであれば、中電にとってはゼロ金利の銀行に預けているのと同じことで、痛くも痒くもない。計画が最終的にどうなるか決まらないうちに、分配された金を万一使う人が出てくれば、その人はもう絶対に計画に反対できなくなるし、そういう人がたくさん出てくるのを誘っているような、あくどい作戦のような気がしてならない。
 「白紙撤回の場合も、返還しなくてもよい」という気前の良い話であれば(とてもそうとは思えないが)、白紙撤回となったときの損失は中電の電気代の値上がりとなって、中国地方全土の住民や企業に跳ね返るだけだ。
 それにしても、相変わらず、目の前に大金を積んで原発賛成になびかせようとする、中電の体質は変わりそうにない。


◎中電、ナメクジウオを環境レポートに記載せず(2000/5/10)

 6日に日本生態学会が見つけた希少生物のナメクジウオについて、中国電力も生息を確認していながら、昨年提出した環境リポートに記載していなかったことが明らかになった。
 中電は、95年〜96年の現地調査の際、建設予定地近くの15地点でナメクジウオの生息を確認していた。ナメクジウオは水産庁のレッドデータブックで、絶滅危ぐ種に次ぐ危急種に指定されている。また、レッドデータブックには、スナメリも希少種として記載されている。しかし、中電は環境リポートで「特記すべき学術上貴重な海生生物の生息は認められない」と結論づけている。
 このことは、中電の提出した環境リポートがいかにずさんなものであったかを物語っている。中電は、ナメキジウオの生息を記載しなかった理由について、「水産庁がまとめたリストの入手が遅れた」ためと説明しているが、まさしく環境影響調査に対する中電の姿勢を表しているといえるだろう。環境リポート提出後に相次いで確認された貴重な生物達によって、中電は追加調査を余儀なくされているが、追加調査ではなく、昨年の環境リポートは破棄し、一から調査をやり直すべきだろう。


◎原発予定地沖で、危急種のナメクジウオ発見(2000/5/6)

 上関原発予定地沖で今度は水産庁の危急種に指定されているナメクジウオ30匹余が確認された。これは日本生態学会の独自調査で見つかったもの。ナメクジウオは生物が脊椎動物に進化する一歩手前の原始的な形態をしており、生物の進化を探るための貴重な「生きる化石」といえる。広島県三原市幸崎町有竜島ではナメクジウオの生息地が国の天然記念物に指定されている。
 中電の環境影響評価準備書には記載がなく、調査にあたった研究者グループは近く、中電と通産省、環境庁に追加調査を申し入れる。


◎中電の追加調査に疑問あり。科学者が独自に環境調査(2000/5/5)

 中国電力が行っている希少貝類などの追加調査について中立性に疑問がある、として県立大の鈴木教授らが5月5日から7日にかけて、現地で海と陸の貝類について独自調査を行う。鈴木教授は「中電の追加調査はチェックのしようがない。追加調査の前から「原発の立地は不退転の決意」と言明しており前回の調査への反省がまったくない」とコメント。


◎日本生態学会が中電に要望書提出へ(2000/5/4)

 日本生態学会が自然環境の保全と科学的な環境影響調査を求めて中電や国、県などに要望書を提出することになった。同学会が原発に絡んだ要望書を提出するのは初めて。


◎漁業補償、契約書に調印(2000/4/27)

 中国電力は4月27日、第107号共同漁業権管理委員会、四代漁協および上関漁協と漁業補償契約書に調印した。補償の総額は125億円以上とのこと。調印式は柳井市内で非公式に開かれた。


◎漁業補償受け入れ、祝島漁協は提訴へ(2000/4/26)

 上関原発建設計画に伴う漁業補償交渉で、予定地周辺に漁業権を持つ8漁協でつくる共同漁業権第107号管理委員会は26日午前、柳井市で会合を開き、中電から提示された総額120億円を上回る補償条件について協議。祝島漁協を除く7漁協が同意し、同管理委は補償条件を受け入れた。
 しかし、祝島漁協は「原発に反対する漁業者の声を無視し、漁業権、財産権の侵害だ」と、提訴する構えだ。祝島漁協の山戸組合長は「反対の意思を明確に示すため出席したが、交渉経過を含め、補償内容は一切認めていない。徹底的に裁判で闘っていく」と話した。


◎グリーンピース帆船、反原発海上パレード(2000/4/18)


 4月18日、世界的な環境保護団体・グリーンピースの帆船「虹の戦士号」(555トン)が上関原発予定地を訪れ、祝島の原発反対派の漁船と一緒に原発建設予定地の田ノ浦沖から祝島にかけて反原発海上パレードを行いました。同船は昨年から「汚染なきアジア」をテーマにしてインド、タイ、日本などを回って、実態調査や環境破壊に対する抗議活動中。

←反原発海上パレードに向かう漁船


 ↑田ノ浦沖を航行中のグリーンピースの帆船


◎中国電力が電調審への上程を2000年11月目標に延期(2000/3/28)

 中国電力の高須社長は、3月に予定していた上関原発建設の電調審への上程時期を延期し、2000年11月の上程を目標とすると表明した。しかし、今月始めに通産省から希少動植物の追加調査を行うよう勧告を受けており、わずか半年程度の調査で十分な生息調査が行えるのか疑問である。


◎通産省が中国電力に追加調査や環境保全措置を求める勧告(2000/3/3)

 上関原発計画の環境影響調査書に対して通産省は、希少動植物の生息調査や予定地の環境保全措置などを中国電力に求める勧告を出した。勧告では、スナメリやハヤブサについては、繁殖時期の調査や工事中のモニタリングを求めている。また、希少貝類が見つかった潮だまりなどを保全すること、新たに希少生物が確認された場合には専門家の意見を聞いて適切な保全対策をとることなど8項目となっている。さらに、通産省は10月中旬までに中間報告を行うように、中国電力に対して求めた。


◎中国電力が四代に追加調査事務所を設置(2000/3/1)

 中国電力は追加調査に伴い、四代地区に現地事務所を設置した。現地事務所には社員1名が常駐して追加調査の立ち会いや連絡を行うことになっている。また、調査の指導・助言を受けるため、学識経験者7人でつくる調査検討委員会も設置されたが、中電は委員の名前は公表していない。


◎三重県の芦浜原発計画が地元知事の要請により白紙撤回(2000/2/22)

 三重県の芦浜地区に中部電力が立地を計画していた芦浜原発について、三重県の北川知事は定例県議会の所信表明で、「地域住民の同意と協力を得られている状態とは言い難い。」、「推進は現状では困難と言わざるを得ない。白紙に戻すべきだ。」と述べた。原発計画が、地元知事の要請によって撤回されるのは今回が初めて。
 これを受けた中部電力の太田社長は同日の記者会見で、芦浜原発について「極めて厳しい判断で、次を考えざるをえない。当面、芦浜の計画を外したい。」と語り、「物理的には建設可能でも、社会的な問題があった。地元には賛成、反対の両論があり、計画が地元に影響を与えたことは私も申し訳なく思っている。」と述べた。
 芦浜原発計画は1963年に持ち上がり、南島町議会が反対、紀勢町議会が誘致の姿勢を表明、国内の原発計画では最も長い36年余りのこう着状態を続けてきた。


◎片山町長、住民意識調査実施の考えがないことをあきらかに(2000/2/17)

 17日、上関原発建設計画に反対する2市6町議員連盟が上関町の片山秀行町長と会見。同連盟は、上関町民を対象にした上関原発に関する意識調査の実施を申し入れたが、片山町長は調査実施の考えがないことを明らかにした。


◎環境庁が中電の環境リポートに対し、希少貝類の追加調査などを求める意見書を提出(2000/2/15)

 環境庁は、中国電力の上関原発環境影響評価準備書に対して、希少貝類やスナメリ、ハヤブサなどの追加調査実施を求める意見書を通産省に提出しました。
 意見書の全文は環境庁報道発表資料で御覧下さい。


◎「脱原発へ!中電株主行動の会」が中電に警告書提出(2000/2/8)

 「脱原発へ!中電株主行動の会」は、上関原発建設の見込みがたっていないにもかかわらず120億円を超える漁業補償金を支払うという基本合意をしたことに対して、このような状況下で漁業補償本契約を締結しないように求め、締結した場合は株主として賠償を求める訴訟を提起する、との警告書を中国電力に提出した。
 警告書の内容は以下の通りです。
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2000年2月8日

中国電力株式会社
 代表取縮役社長 高須 司登様

脱原発へ!中電株主行動の会
 世話人代表  溝田 一成

警 告 書

 マスコミ報道によると、上関原発建設に関する漁業補償問題について、当社は原発建設を推進しようとするため、該当漁業協同組合に対し総額120億円を超える金額を漁業補償金として支払うことで、基本合意をしたとされています。
 しかし上関原発の建設は、
@原発建設予定地周辺海域を有力な漁場とし、共同漁業権を持っている祝島漁協が、建設絶対反対を表明していること。
A原発建設予定地の土地について、原発建設のためには絶対に土地を売らないという地権者が多数存在していること。
B原発建設予定地周辺が、世界的にも貴重動植物とされているスナメリ、ハヤブサ、ナガシマツボ、イワレンゲなど多くの種類が確認され、当社の環境影響評価準備書に対し山口県知事から「追加調査」の必要性と生態系全般の保全を求められていること。
C昨年9月末に起きた、茨城県東海村にある核燃料加工会社,JCOの臨界事故により、住民の間に根深い原発建設への拒否感があること、
など当社がいくら上関原発の建設を望もうとも不可能な状態にあります。その事実を証明するように、当社が切望していた上関原発の電源開発調整審議会(電調審)上程は、98年、99年、そして本年3月も断念せざるを得ない状況となっており、今後の予定もまったく立っていません。
 このように、原発建設の見込みがまったくたたない状況の中で、漁業補償金を示し本契約を締結するという行為は、地元住民をますます混乱に陥れるのことは必至であります。そして、それは当社および、当社の株主に対しても甚大な損害を与える状況となります。
 そこで、当社の株主として下記の事項について警告を行います。警告の内容を真撃に受けとめ、対応されるよう求めます。
−−− 記 −−−

1. 上関原発の建設見通しがたたない状況、および原発建設に反対する共同漁業権を有する漁業協同組合が存する現時点において、漁業補償契約の締結を行わないよう警告する。
2. 漁業補償本契約を行った場合、当社の株主として、当社取締役に対し相応額の金額の賠償を求める訴訟を提起する旨、警告する。

以 上

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◎東海村の住民アンケートでも、原発廃止意見が推進意見を上回る(2000/2/8)

 昨年12月に東海村で行った住民アンケートの結果、原発廃止意見が原発推進意見を上回った。昨年9月の臨界事故により、東海村住民の原発に対する意識が大きく変化したことが分かった。

           臨界事故前   臨界事故後
  原発は廃止すべき 11.5% → 39.7%
  原発を推進すべき 52.4% → 32.4%




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